クリノ沢の含礫泥岩体-その2
この含礫泥岩体に含まれる礫-砕屑粒子についてもう少し詳しく調べてみると,いろいろと面白いことがわかります.
左の写真は上半分がQF砂質基質(MX)部と緑色岩(玄武岩)粒子(BS)です.緑色岩はほとんど非変形のものもありますが,真ん中上のもののように,片理を生じたものが多く含まれます.
下半分の泥質部は,最初これこそが泥基質と思ったのですが,よく見るとほぼ非変形の生物擾乱構造(BT)がたくさん入っており,とても流動基質とは考えられないものです.おそらくこれ自体が泥クラスト(MC)ということなんでしょう.ちなみに中央下には放散虫殻も見えています.
この顕微鏡写真を見る限りでは,含礫泥岩というよりは,含礫シルト岩~細粒砂岩と呼ぶのが正しいのかもしれません.
そしてきわめて特徴的なのが,右のような青色角閃石を含む変成岩粒子です.青色角閃石はおそらくMgリーベッカイトと思われますので,これ自体が一義的に低温高圧型変成を示すものではありませんが,神居古潭帯南部の低温高圧型変成岩(岩清水コンプレックス)には普通に含まれるものです.
ということで,このカテゴリーでだいぶ前に書いたように,この周辺地域で低温高圧型変成コンプレックスを不整合に覆う蝦夷層群中部層準の砕屑物の特徴をそのまま示しているということになります.
ちなみに,同様な岩相の含礫泥岩体は,北は日高町千呂露川から南は新ひだか町(旧三石町)三石川まで断続的に分布しており,その層準はすべて同じ(中部層準基底部)です.薄いものだと厚さ 1 m にも満たないようなものもあるので,これがいったいどのような成因を持つものかについては,『デブリ・フローなんでしょ』だけでは,どうもすっきりしません.
2012/04/23 11:40:26