三笠博物館前のストーム礫岩


『今年の夏見たシリーズ』も,さすがに今年中に書いておかないとアレなので....これが(おそらく)最後です.




三笠市の三笠市立博物館は,見事なアンモナイト・コレクションで有名です.さすがに立地を生かした展示というか...見ると感動しますが,あいにくの『化石嫌い』の私は,建物の外に置いてあるこういうものに目を惹かれてしまうのでした.天の邪鬼.f(^^;

いわゆる『中部蝦夷層群』に属する三笠層中の浅海性礫岩です.このくらいのでっかい岩塊がいくつか無造作に置いてありますが,あまり『優遇されている』ようには見えません(失礼).
産地は(たしか)明記されていませんが,おそらく桂沢ダムのすぐ西側に大きな採石場がある(あった?)ので,そこから出たものだと思います.ちなみに私は,その採石場に登る道の脇から小さなサンプルを拾ったことがあります.




接近して見るとこういうもので,実に見事なものです.厚殻の二枚貝はおそらくトリゴニアを主体とするものだと思われますが,私にはよく分かりません.
礫は円礫が多く,そのほとんどが『古期岩類』です.要するに空知層群の緑色岩類や珪長質凝灰岩・チャートなどというか.
こういう産状は要するにストーム・ラグ堆積物であって lower shoreface から inner shelf の堆積物だと思われますが,そのへんは安藤さんら堆積屋さんにお任せしましょう.




実はこのストーム礫岩,私はもう十年以上も前からその存在を知っていたんですが,今回,何の気なしに礫を見ていてけっこう驚いたことが...これって,『高圧変成岩』の礫ですよね? なにやら色の怪しげな部分がありますが,青色角閃石が出来ているとまでは言わないけど.

うーむ...このカテゴリーでこのあとあれこれ書こうと思っているのですが,北海道南部で蝦夷層群の中部層準が高圧変成岩コンプレックスを不整合に覆っていることは疑いありません.でもここは三笠...私の旧イメージとしては,西側の蝦夷にはそういう変動はなかったはずなので..しかもこんなでっかい円礫.三笠層の一部は陸(河川)成...その古流向というか堆積システムの向きを知りたいところです.東からだったら,ある程度納得.でも西からだったら??
安藤ほか(2007)や安藤(1990)を見る限りでは,どう見ても西から以外にないようで.ありゃりゃ...

2009/12/17 09:25:11


コメント:
 嶋岡 (2010/11/22 11:22:44)
  ご無沙汰しております。
貫気別川沿いの調査で中段の写真に類似した露岩で悩んで
います。観察では貝化石(多分トリゴニア?)と円磨された
チャートや緑色岩(φ2~5cm)を含んでいます。この礫岩層の下盤側は函淵の砂岩~砂質泥岩ですが見かけ上の上盤側はせん断を受けた泥岩です。この泥岩は極めて軟質です。この泥岩は新第三紀のフラヌイ層なのか、蝦夷層群の泥岩なのか
で悩んでいます。
 貫気別川沿いを調査されたことがありましたらコメントをいただきたく投稿しました。

コメント:
 mkawa (2010/11/24 10:19:31)
  嶋岡さん ご無沙汰しています.
貫気別川沿いですか...私は詳しく見たことはありません.その貝化石がトリゴニアだとすると,三笠層相当相としか考えられませんね.
ただ,貫気別地域は,私の言う『ニセウ-ハッタオマナイ列』の東側なので,いまのところ,この地域に浅海性~河川性の蝦夷層群中部層準(三笠層)は見つかっていないと思います.もしそうなら,新発見ということになるのかも.
函淵の上盤となると,おっしゃるように新第三系を挟んで逆(or 衝上)断層になっているか...


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