蝦夷層群基底不整合-上アブカサンベ編その1





蝦夷不整合シリーズ再開です.

ここは,新ひだか町(旧静内町)春別川上流の上アブカサンベ川下流部です.下で紹介した崩れ沢とは春別川を挟んで対岸の位置になります.向斜の東翼ということにも.
この露頭を発見したのは,当時確か新潟大学の研究生だった植田勇人さんです.その発見情報をいただいて,当時大学院生だった望月貴君と二人で調査に行ったときの写真です.

なにしろ露頭が汚くて (^^; なかなか分かりにくいのですが,GS が白亜紀付加体(ナイ沢コンプレックス?)の緑色岩,CG が蝦夷層群の基底礫岩です.SS が粗粒砂岩.真ん中に小断層が二本あり,基底部が繰り返しています.写真を見ると逆転しているようにも見えてしまいますが,露頭の端をかすっているためこんな感じに見えていると思ってください.確かそうだったと...f(^^;




右の柱状図は,このあと蝦夷層群をテーマとして研究した大学院生の森谷明博君が作成したものです.いくつか不正確な点もありますが,非常に分かりやすい柱状図です.『Middle Yezo Group』となっているのは,Yezo Group の Middle と理解していただければ.

ちなみにこのルートは,1950年代から多数の先輩地質屋たちが歩かれているところです.図幅としてもイドンナップ岳図幅に入っているところですが,もちろん礫岩も不整合も記載はありません.蝦夷層群と緑色岩はどこでも断層となっています.私の研究室でも,その昔イライト結晶度を目的といて鳴島勤君が歩いていますが,見逃しています.
これは,批判や厭味を言いたいわけではなくて,『地質って,物事が一度分かってくると芋づる式に新事実が出てくるもんだなぁ』という感慨です.たとえ私がここ歩いても,崩れ沢不整合を見る前だったら,簡単に見逃していたでしょう.もしかして,植田さんでも? :-p

2010/01/14 13:11:33


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