霧多布岬の大規模礫岩層





私は,根室層群を見るようになってまだ数年程度の経験しかありません.それ以前は第三者的な意識で根室層群というものを捉えていたんですが,そのイメージは『前弧海盆タービダイト』という程度の漠然としたものでした.なにしろ根室層群の内部に不整合があって,その上にかなりの厚さのシーケンスが(まだまだ)あるということすら知りませんでした.

で,この写真は浜中町霧多布(湯沸)岬の遊歩道から見える露頭で,根室層群中の不整合の上位層,霧多布層です.すげぇな...と正直思います.莫大な厚さの礫岩層です.正確には分かりませんが,おそらく層厚30mはあるんじゃないでしょうか? 内部は不淘汰無構造で,この厚さが単層厚の最小値ということになります.
礫は円礫主体のように(遠目では)見えますが,その大きさはかなりもので,目測ですが最大礫径は1mを越えているように見えます.
このような莫大な厚さと大きな礫径を持つ礫岩単層が,どのような運搬定着機構を持っているか,私にはどうにもイメージできません.

礫岩層の下位は,薄層理の比較的均質なタービダイト互層のようです.礫岩層の下底は,植生で明瞭ではありませんが,なんとなく凹凸があるようなので,浸食面になっているように見えます.要するに大規模な粗粒重力流堆積物ということなんでしょうね...こんな大礫を含むような厚さ30m以上の礫質重力流,私の想像できる世界の外にあるとしか言いようが.




この礫質重力流の礫種はどうなのかというと,この露頭に取り付いてみるとこうなっています...って,ウソですけど.取り付く島もない急崖露頭なので,別の場所です.たしか,対岸の琵琶瀬の漁港の横の露頭だったと思います.
これ見ると,礫のほとんどは火山岩(輝石安山岩?)のようで,それ以外の礫種は写真で見る限りまったく含まれていません.真ん中下にある白っぽい礫は,多少珪長質なのかもしれませんが,斑晶を持つ火山岩です.

こうしてみると,ありがちな話ですが,『活発な火山活動』が,この大規模な礫岩層形成のキーなのかも.君波(1985)によると,花崗岩やチャートなど珪長質深成岩・古期堆積岩類の礫も含まれるようですが.

2015/03/30 11:52:34


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