サンゴの沢の珪長質凝灰岩層





それでは,気を取り直して...って何の事だか分かりませんが.

日高町サンゴの沢(三号の沢)は,当教室の3年目地質学実習の実習場所として,長年お世話になっているところです.沢の入り口は新第三系のニニウ層が露出していますが,すぐに基底礫岩が出現してその下位に白亜系蝦夷層群が露出してきます.

この蝦夷層群,上流側が層序的下位になっていますが,孤立して出現するため,その層準は良く分かりません.ただ,泥岩と互層する珪長質凝灰岩層がけっこう厚く出現するので,いわゆる丸山層相当層準(中部層準)ではないかと考えられます.




泥岩と凝灰岩の互層ですが,非常にきれいな互層・葉理構造を示しており,層理面をクリノメータで測りやすいので,学生実習では非常に重宝する岩相です.
この岩相中には,かなり見事な未固結時変形構造が観察されます.この写真は(転石ですが)その典型的なもので,おそらく ball-and-pillow 構造ということになるでしょう.繊細な葉理の破断構造もあり,見飽きません.




実はこの層準の珪長質凝灰岩は,他の露出場所でも,同様な未固結時変形構造を示します.左の写真は新ひだか町春別川中流上アブカサンベ沢のものですが,loading から ball-and-pillowへと発達する過程の構造が見えています.この露頭は層準ははっきりしていて,中部層準の基底(不整合)礫岩から含礫泥岩-砂質タービダイトへと変化する部分の上位にあたります.

なんというか,私の知識では,こういう構造は,砂質部と泥質部の密度差・密度逆転によって駆動されたものだと思うのですが,あまり密度差のないと思われる珪長質凝灰岩と泥岩との間で顕著に起きているのはなぜなのか...むしろ密度差が小さいことが要因なのかな? どうもよく分かりません.




ちなみにこのサンゴの沢の蝦夷層群ですが,単層上面にこのようなリップルが観察されます.弱い非対称リップルなので,おそらくカレントリップルだと思います.底層流か? ちなみにこの露頭の下流側の林道沿いには,かつて看板まで立っていた見事なリップル層理面がありました.いまは看板もなくなってしまい,崩れと植生で見る影もありませんが...そのリップル,私は(その露頭位置から)ずっと新第三系中のものだと思い込んでいましたが,この写真の層準のほぼ走向延長に位置しており,蝦夷層群中のものということになりますね.

2015/03/03 12:55:42


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