比布の蝦夷層群





たまには蝦夷層群のことも書いておかないと.

これは比布町突哨山の北にある採石場の露頭です.神居古潭帯の東になるので,川村ほか(1999)なんかの区分では“蝦夷東帯”にあたるところですが,変形はそれほど激しくなく,まあまあ普通の『中部蝦夷相当』の地層かと.
見事な薄層理タービダイト互層です.この界隈からは大型化石は出ていないと思いますが,“対岸”の当麻地域からは Cenomanian の放散虫が出ていますので,まあそのへんということのようです.




層理面上には,こんな見事な生痕化石が随所に見られます.露頭よりも,採石されて山積みになっている岩塊が,こういうのを観察しやすいポイントですね.
生痕に詳しくない私にはこれがなんというものか分からないのですが,曲がりくねったやつと,いかにも大型の生物の這い跡らしい棒状のやつです.




あと誰も気づいてないみたいですが,採石されたベンチカットのところにかつて,かなり大規模な砂岩脈が観察されてました.この写真は1997年に撮ったものですが,その後何度訪れてもどこにあったものか確認できてません.ダイクだから砕石で失われるはずはないので,土砂か植生の下に埋もれてしまったのかも.統計値があるわけじゃないですが,厚さが数十cm以上ありますので,蝦夷層群中の砂岩脈としては最大級のものではないかと思います.そう思ってみると周りの母岩の砂泥互層もちょっとスランプ変形的な褶曲をしているみたいな...

2009/11/11 10:31:17


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