厚岸バラサン岬の根室層群
今までずっと to-do list のトップにありながら実現していなかった『根室層群』に関するアーティクルの第1弾です.
場所は,厚岸湖にかかる厚岸大橋を渡った右側にある漁港の端で,バラサン岬と呼ばれています.防波堤のすぐ付け根なので,簡単に見ることが出来ます.
さて,この立派な露頭を遠望してまず思うのは,『すっごい厚層理だな...』ということです.というか,層理がほとんど見えません.ここで私の根室層群への先入観は粉砕されてしまいました.なんとなく薄層理~中層理の普通のベースン堆積体=タービダイトシーケンスだと思っていたんですよね.
露頭の基部に取り付いてみると,粗粒だなぁどころか,完璧な礫岩です.ほぼ無構造なので,重力流堆積物だと思います.礫種はご覧のとおり,ほぼ100%火山性砕屑物です.おそらく安山岩を主体としたものだと.
それにしても,前弧海盆堆積体どころか,積丹半島の新第三系海底火山堆積物の epiclastite みたいです.
この分厚い礫岩層の上位を見ると,さらに分厚いこんな地層が重なっています.露頭に取り付けないので,はっきりとしたことは分かりませんが,おそらく塊状粗粒砂岩中に大小の泥クラストを含む岩相でしょう.高密度粗粒タービダイトか,あるいは砂基質土石流堆積物と呼ぶべきものか...?
参考文献を見ると,この箇所の根室層群は厚岸層の最上部で,その上に礫岩を主体とする霧多布層(暁新統)が一部不整合で載るとされています.もしかすると岩相的には,このバラサン岬の露頭はすべて霧多布層なのかもしれません.
まずは根室層群探索の第一歩でぶっ飛んでしまった...『根室層群の堆積盆って,かなり不・安・定...?!』.で,それに加えて,(火山弧性?)砕屑物供給量が桁違いなのではないかと.同じ前弧海盆堆積体の蝦夷層群とは,かなり趣を異にするという感触でした.
2011/07/14 13:36:54