蝦夷層群の東端





タイトルは半分不正確ですが...半分本気です.蝦夷層群の分布の東端はおそらくここです.

場所は様似町市街地のすぐ北にある採石場跡で,様似川の西岸になります.ほぼ直立した厚層タービダイト層で,蝦夷層群下部層準に属するものと思われますが...浦河図幅では中部層準になってますね.うーむ.

で,浦河図幅によると,この部分での蝦夷層群の分布は様似川の東岸にちょこっと伸びていて,そこで南北方向の様似断層によって切断され,イドンナップ帯?の岩石と接しています.もちろんその部分がほんとの蝦夷層群東端ですが,普通にアクセスできる露頭としてはこの写真の露頭が事実上の東端だと,まあそういうわけです.




この採石場跡の露頭,クラックが多くて風化しており,上からの落石が極めて危険です.近寄らない方が良いかも.
下に落ちている転石を見てみると,泥リップアップクラストを多量に含む中粒~粗粒砂岩で,石英に富んでいるという感じがあまり無く,確かに中部層準のものなのかもしれません.

(EDIT:) ...だけじゃあまりにも突っ込みが浅いですよね.東端だからどうしたの?と言われそう.ちょっと追記です.
この部分は,分布の東端だというのに,あまりにも『普通の蝦夷』です.蝦夷層群の分布地域としては,【浦河地域】の東端にあたるわけですが,この浦河地域というのは,位置的にはいわゆる蝦夷層群東帯にあたるにもかかわらず,層序や岩相は西帯のものと共通点があります.すぐ北の三石~新冠地域のものとは,例えば中蝦夷不整合が見られないとか,かなり違っています.
そのことから,私は浦河地域の蝦夷層群は,WNW-ESE方向の左横ずれ断層で西方から転位してきたものではないかと思っているのですが,証拠がありません.実際の横ずれ断層が認識されていないからです.どうなっているんでしょうね?
いずれにせよ,この部分が,『エゾ海盆の(海溝側)東端』でないことだけは確かのようです.

2015/03/12 15:47:42


コメント:
 嶋岡 (2015/03/12 20:52:08)
  泥リップアップクラスト 石北峠北見側3合目付近のでボーリングコアがわからなくてご相談したことを思い出しました。
その時のクラストはかなり変形していました。
石北峠の北見側の地質は、よくわかりません。朝倉書店の地方地質でも触れられていませんよね。

コメント:
 mkawa (2015/03/13 12:38:05)
  嶋岡さん,ブログ上では長い間ご無沙汰してしまいました.まだまだネタは沢山あるので,定年までの間になんとか消化してしまいたいのですが...退職するとこのブログサーバも無くなってしまうので,さてどうしたもんかと考えています.


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