蝦夷層群基底不整合-額平川上流編
『北海道地質百選』投稿作業で,ブログ更新に多大な影響が出てしまいましたが...最近,百選のスタンスと私の能力との間に大きな乖離がありそうだということに気づき,かなり落ち込んでいます.場合によっては百選からの徹底も考え始めているところです.
で,前に始めた蝦夷層群基底不整合シリーズですが,一つ後回しにしているうちに時がたってしまいました.実はこれが私たちの見た最初の不整合露頭なんですが,同時に一番悩ましい露頭で...
場所はけっこう奥深いところで,行くのは一番大変です.額平川の支流にパンケユックルシュベ沢というのがありますが,そのまた西支流にパンケユツルペシュペ沢(別名幸太郎沢)というのがあります.これの沢型としてはほぼ最上流に位置しています.まあ,初めて行ったのはまだ若いときでしたから,それほどでもなかったんですが,いまじゃこの歳では行けないかも(涙).上二股橋からはしばらくブル道がありますが,四の沢分岐辺りからはまったく道はなかったと思います.
この露頭は,橋本ほか(1961)ではじめて記載されたもので,その再評価の結果は川村ほか(1999)に報告しています.要するに...蝦夷層群中部層準(MY)をずっと下を見ていくと,基底礫岩(PS)があって,同じ蝦夷層群(LY)が不整合(UC)に覆われているというものなんですよね.この部分は左側が断層で切れているので,ちょっと分かりにくいんですが,露頭向かって右側には,全体が逆転していますけど,MY と LY の不整合面を確認することが出来ます.
その当時(1997年)取ったスケッチというか模式図は右図のとおりです.
さてさて...何が悩ましいかというと,LY ってなに? ...って知っている人は分かっていると思うけど,要するに『下部蝦夷層群』と呼ばれていた地層です.しかし,三石地域とはちがって,上の地層(MY)と岩相も変形度もまったく変わりがありません.出ているところもここだけ.すぐ裏はもう蛇紋岩の分布地域です.ほんとにこれを不整合と言って良いものか...当時取ったスケッチでは,LY と MY との層理面に斜交関係があるようになっていますが,いずれにせよ微妙なところだと思います.
自分で,不整合を再確認した,なんて書いておいてなんだけど,今はあまり,不整合だとは思っていません...m(__)m
2010/03/15 13:29:42