クリノ沢と蝦夷東帯
この写真は,静内町(現・新ひだか町)春別川中流部の小さな支流『クリノ沢』の蝦夷層群の露頭です.時は1996年10月.今からもう15年以上も前のことなんですね...
このクリノ沢の蝦夷をやるようになった当時は,M論でイドンナップをやった植田さんが研究室を去って,さて私たちにできることはなんだろうな...という感じの時でした.
クリノ沢は,そのほぼ最初に到達したフィールドだったと思います.ここで私たちは,のちの『蝦夷東帯』のきつい洗礼を受けるわけです.
このときの同行者は,山・鳴島・藤本の3人で,露頭の前でスケールになっているのは藤本樹快さんです.
きつい洗礼というのは,ただのタービダイト堆積体だと思っていた蝦夷層群が,『そんな甘いもの』ではなかったということです.右の写真は上の写真に補助線とキャプションを入れたものですが,SSがタービダイト互層,PMが含礫泥岩,そしてCGが礫岩脈です.この露頭の左側に断層関係でイドンナップの緑色岩が接しています.なんともキツイ geology だな...
左のルートマップは,このあとこの流域を検討することになった鳴島さんが取ったものに,私が修正追加を加えたものです.詳しい説明はここではしませんが,上に書いた蝦夷東帯の手ごわさが垣間見えるルートマップだと思います.
このあとは,川村ほか(1999)に基づいて,クリノ沢蝦夷層群中部基底付近の特徴的な岩相について書いてみようと思います.
ちなみにこの川村ほか(1999)論文ですが,研究の結果を書いた論文ではなく,研究の開始を宣言するといった意味合いの preliminary な論文でした.そういうのは反則なのかもしれませんが,どうしてもそうしたかったんですよね.でもその後の展開はイマイチ以下だったような気も...orz
2012/02/23 11:59:53