HDR露頭写真の実際例






HDRアートの話にコメントが付いたので,あらためてこのカテゴリーを見直してみると,普通のHDR写真の応用例については,アーティクルを一つしか書いてないことに気づきました.これは私の地質HDR写真の使用頻度を考えると不備ということになります.

この写真は,日高町サンゴの沢の新第三系ニニウ層群基底不整合露頭です.昨年あたりから新しく露出した露頭で,その報告は地質雑記カテゴリーのほうに書いています.
で...この写真を見て『なんだか眠いなぁ』と思った方は写真を見る目がけっこうあります.しかし,これがHDR写真のダイナミックレンジというか,正確には『情報量』なんです.




この露頭を,デジ一眼のプログラム露出で普通に適正露出で撮ると,右のようになります.これがどんな高価なデジ一眼でもこうなるという普通の結果ですが,なんにせよデジタルカメラには厳しいシチュエーションです.逆光でおまけに水の中に近い露頭なので露頭は濡れており,その反射で上部は白飛びしかけており,肝心の不整合部は暗部潰れを起こしています.普通だったら,こんなもんだよ,であきらめるところです.




とりあえず,RAW で撮っているのでそのヘッドルームを利用しようと,RAW 現像ソフトでフィルライトやハイライトリカバリを駆使して目いっぱい階調の回復に努めると,その結果は左のようになります.
暗部の階調・描写はなんとか出てきましたが,上下のハイライト部はこの辺が限度なので,無用な部分がとても(目障りなほど)明るくなっており,写真としては失敗レベルでしょう.

で,上の±1EV ブラケット写真3枚から合成したHDR写真に戻ると,そのメリットは一目瞭然というか,こういうシーンではもうこれしかないでしょう.
下部は水流なので,ブラケット露光間隔の間に変化しており,うまく合成できないはずですが,Photomatix の Remove Ghost 機能によってうまく自然に描画されています.たいしたものだと思います.これをHDRアートにしたらどうなるかな...?とも思ったのですが,さすがにやってません.f(^^;

2011/09/08 10:46:28


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