HDRアート?と露頭写真
やっと新年最初の書き込みをすることができます.前回書き込みから1ヶ月ですか...いかんですなぁ.
で,このカテゴリの話題は久しぶりです.地質写真におけるHDR (High-Dynamic Range Photo) の有用性については以前にちょっと触れましたが,今回は,もっとえぐい話です.最近けっこう話題になる Topaz plug-in やデジカメの in-camera effect としての HDR アートのところまで逝っちゃったら,果たして露頭写真とかどうなるんだろう?
上の写真は,地質屋だったら誰でもが経験する『晴天の日陰』における典型的な青かぶり写真.色かぶりもいやだけど,コントラストが極度に低下するので,露頭写真としては失敗レベルのものです.
で,上の青かぶり写真を RAW 現像でコントラスト・ガンマ・色温度調整を限界近くまで入れてやるとこうなります.まあ,これで十分なわけですが...これに HDR えぐ目にかませてやったらどうなるんだろう?というのが下の写真.
Photomatix の Grunge というプリセットを適用して,いかにも HDR アートらしいえぐい階調に.Grunge というのは『汚らしい』という意味だそうなので,まあそのとおり.写真というものに sensitive で保守的な人には見るに耐えないものだと思います.砂泥互層がまるで蛇紋岩化した超苦鉄質岩のようです.砂泥の色調差も人工的に縮まってしまい区別が曖昧になっている傾向も.
しかし細部を良く見ると...ふつーの写真では階調差が小さくてよく分からない小さな凹凸が強調され,岩体の内部構造が実によく表現されています.これはおそらく深層スランプ体内部の剪断破壊によるものだと思いますが,泥質部の剪断劈開や,タービダイト砂層部のラミナ?なども良く見えています.まるでメランジュみたいです.
これはおそらく,場面によっては通常写真とは二味くらい違う提示性を持った写真が作れそうです.白黒なら色調の不自然さは目立たなくなってしまうし.
2011/01/19 13:08:55