HDRによる dehaze





閑話休題的な書き込みです.地質写真の中でも,山脈や山地などの地形写真となると,よっぽど大気の状態が良くないと,いわゆる『青霞み写真』になってしまいます.これは修正レタッチが結構手ごわく,かなり頑張っても霞(haze)の影響を完全には除去できないのが普通です.

左の写真はその一例です.私が撮ったものではなくて,宮城教育大学の川村寿郎さんが撮影した某山なみの写真です.2月の午後遅くの撮影ですが,エアロゾルの影響で肝心の山地はコントラストが著しく落ちてしまってます.

私はこれまで,こういう写真はレベル補正やコントラスト補正などでしのいでいたのですが,最近,HDR処理が靄霞(もやかすみ)の除去(dehaze)にかなり有効であることに気付きました.
HDRというのは,ハイコントラスト画像のクリッピング領域(いわゆる飛び)から階調を回復する処理なので,dehaze のようなローコントラスト画像の階調回復には有効ではないと思っていました.しかし...




右は,easyHDR というHDRソフトで上の写真を処理したもので,霞みの影響は人ん度除去され,山の尾根の形などがすっきりと描写されています.なかなかすばらしい結果と言えます.これをみると,青空の部分にうす雲がなびいているのがはっきりと分かります.
ただこれは好みの問題かもしれませんが,HDR処理によって前景の集落を囲む杉木立の赤が異様に強調されてしまい,ちょっと不自然です.左下からライトアップされているみたいです.実際,西から傾いた薄日を受けていたんでしょうけど.




参考までに,元写真を Photoshop で思い切りレベル補正をしてコントラスト・彩度を調整したものがこの写真です.山地の部分のディテール・コントラストはさすがにHDR処理に負けてますが,前景はかなり自然な感じです.山地の描写も,風景写真としては,こちらが好みですが,科学写真としてみると,ギンギンのHDRの方が圧倒的に情報量が多い感じです.

結局...成果品としては,HDR写真に Photoshop レタッチ版から手前の杉林を切り抜いて合成してやったものを提出しました.

結論として,dehaze にHDR処理はかなり有効である,ということになります.ただ私がやってみた限りでは,HDRソフトによって適不適があるようで,定番 Photomatix では,思うような結果を得ることはできませんでした.

2012/04/16 13:01:44


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