深層崩壊が日本列島を襲う...





...というNHKの特集番組を先日見ました.なかなか普通には取り上げられない話だと思うので,興味深く見させてもらいました.

話の発端は,台風の豪雨に伴う,台湾山間部の比較的緩傾斜の斜面での大規模崩壊でした.日本から調査に出かけた研究者の言うように,たしかにすごい規模のもので,驚きました.
そのあと,京大防災研の千木良さんが出てきて,『既存の深層クリープ箇所』の崩壊によるものであると.納得しましたが,我々にとっては必須のキーワードが出てこないので,地質屋としてはかなり不満が残りました.

要するに『流れ盤』『層面すべり』『岩盤崩壊』...とかなんですが,千木良さんはしゃべっているのに編集でカットされてしまったのかもしれませんね.
私も経験ありますが,NHKに限らずマスメディアは,番組を作る側があまりピンとこない話は容赦なくカットしてしまいますからね...ことの本質を分かりやすく説明できない私たちの側にも責任があるのかもしれませんが.

深層崩壊の箇所を抽出するのに,空中写真とかでクリープ地形を見つけることが大事だというのもなるほどと思いましたが,素人目には『古い地すべり地形』とどうやって区別するのかな?と思いました.地すべりの初期過程=クリープと言っちゃえばそうかもしれませんけど.

あともう一つ気になったのは,防災関係の研究者の方だと思いますが,『日本列島ではどんな地形・地質のところでも,どこでも深層崩壊が起こる可能性がある』とおっしゃっていたことです.まあこれも編集の結果かもしれませんが,それでは『ことの本質』が置き去りにされてしまうような...

ちなみに上の写真は,2004年中越地震の際に発生した流れ盤の層面すべりによる岩盤崩壊の例です.小千谷市横渡だったと思います.深層崩壊というほどの規模ではありませんが.

2010/06/30 10:08:31


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