岩盤剪断試験
あっという間に11月も過ぎてしまいそうなので,月末アリバイ書き込み.
これは,このカテゴリーの下に書いた2004年2月のえりも岩盤崩壊事故調査委員会での一コマです.まあなんていうか,開発局もやるもんだな...と.
何の話かというと,えりもの崩壊現場から大サンプルを取ってきて,直方体に整形し,それをコンクリートに封入した上で,サンプル長軸に直交した方向に剪断応力をかけてやって,破壊様式を探るというものです.写真は,その破壊試験後の供試体です.
この崩壊事故は,下に書いたように,泥質ホルンフェルスという,非常に硬い岩石からなる岩盤で起きています.ただ,硬いことは硬いのですが,熱変成に起因する『白色鉱物脈』が縦横無尽に走っており,これが風化の影響で剥離すると,岩盤全体の強度を下げていることが考えられます.
この剪断試験装置は,札幌郊外の江別市角山の開発局試験施設内にあり,非常に大型で立派なものです.少なくとも私は初めて見ました.もともとはコンクリートの強度試験に使われていたものかも?
で,その試験結果ですが...ご想像の通り,一義的に崩壊様式を決めるようなな結果は得られませんでした.
ただ,供試体破断直前にわずかなクリープ領域があり,それが鉱物脈の剥離破断を示すものではないかとも考えられました.
私のイメージとしては,表層部(数m以下)で鉱物脈のところから剥離した硬いブロック状の岩塊が組み合った状態が短期的に存在したという感じなんですけど,どうなんでしょうね?
2010/11/30 12:57:40