札幌市最古の地層





札幌市最古の地層...北海道の地質屋なら誰でも知ってると思いますが,定山渓のすぐ上流,薄別川に露出する薄別層です.

実は私,札幌で地質屋やってもうすぐ40年になりますが,一度もこの地層を見たことがありませんでした.渡島帯の研究もやっている(・いた)というのにどうしたことなんでしょうか?

そう思い立って,近いし,今日ちょっと見に行ってきました.国道から川に降りて200mくらい下がったところです.誰でもすぐに見れます.私はこれまで怠慢でした...(^^;





で,肝心のその地層なんですが...見事なタービダイト互層です.基本的に非変形の整然層で,一部正断層で切れてるところもありますけど,『ほんとに付加体?』と思うほどのものです.

砂岩は見た目なんとなく長石質な感じですが,周りがけっこう温泉変質来てるところなので,変質ということもあるのかも.ちなみに川歩いていたら,硫化水素の匂いがほんわかとしてました.砂岩のサンプルは...取りませんでした.なにしろハンマーも持ってなかった.おい.(-_-;

でもこの互層見てたら,付加体屋の本能で,多少ぞくぞくしてきました.札幌西方山地の第三系の下にこういうタービダイト互層があまねく分布しているのか...どこで堆積したんだよ?と思うと.

実は,川村ほか(1997)には,渡島帯の東縁部は,ジュラ紀沈み込みが終焉したあとにジャンプした島弧(礼文-樺戸)との間にできた remnant basin だ,なんて書いてしまったんですよね.だったら海溝じゃないじゃん!ということで.ほんとかいな.:-p

付記: 輿水・成田(1987)には,薄別層の時代は漸新世,と書かれています.単なる個人的意見ですが,これは地層区分(認識)の混乱による明らかな mislead だと思います.微化石が出てないので正確にはわかりませんけど,ジュラ紀中世~白亜紀古世といったところでしょうか.本命はベリアシアン?

2009/06/05 14:32:08


カテゴリー目次へ戻る
トップページへ戻る