墨流し構造-その1
オイチャヌンペ川の美瑛コンプレックス・ユニットCでもっとも特徴的というか,付加体の内部(混在・変形)構造に少し敏感になった私たちの目をひいたのは,『墨流し(Sumi-flow)構造』(勝手に命名)でした.
どんなものかは左の写真を見て欲しいのですが,要するに,それまでの私のメランジュ概念を馬鹿にしてくれるようなものでした.要するに砕屑岩と緑色岩の混在岩相に違いはないのですが,『どっちが基質でも包有物でもない=基質でも包有物でもある』という,やんちゃな構造です.
写真は研磨標本をクローズアップしたもので,黒い部分が陸源の泥,黄色っぽい緑の部分が緑色岩です.少し灰色をした包有物?は石英長石質砂岩です.これを見ていただければ,何が墨流しなのかがわかっていただけると...思うのですが?
ある場合には,変形砕屑岩中に『注入した緑色岩』も見られます.緑色岩ですよ.
こういった混在産状は,それまでの付加体の(意図された)記載報告にはまったく見られないものですが,少数の例として,Onishi and Kimura (1995)による四万十帯での記載には,墨流し構造に非常によく似た構造が示されています.
これを顕微鏡下で見ても,やっぱりこうなっています.つまり,スケール依存性がありありと.この写真では,青っぽく見えるところが砕屑岩で,茶色っぽく見えるところが緑色岩のミクロンスケールの『薄層』です.
砕屑岩部には,人魂状の砂岩包有物も認められます.見たところ,顕著な非対称剪断変形構造はほとんど認められません.
いやはや...見る側(私)のアタマの中が整理されていない(認識不足な)だけかもしれませんが,どうにも困ったもんです.
(以下,続く)
2014/02/13 13:45:33