折戸浜の海溝充填?砂泥互層





松前町折戸浜には,ジュラ紀付加体渡島帯大鴨津川コンプレックスの砂泥互層が露出しています.北海道では,付加体岩類が海岸に露出するところというのはかなり珍しいので,海岸特有の良好な露頭で付加体の内部構造を観察できる貴重な場所となっています.

この写真は,折戸浜駐車場のすぐ前の,『昔は海水浴場だった』ところの露頭です.すごく懐かしいというか...40年近く前に3年目の『修業論文』として調査したところそのものだからです.
少しホルンフェルス化しているので,石は極めて硬く...あまり海水浴には向かないところでしたね,やっぱり.以前はキャンプ場としてキャンプガイド誌にも乗っていましたが,いまはトイレもなく,廃止されてしまったようです.
真ん中付近の白っぽいのは,粗粒タービダイト砂岩で,泥リップアップクラストを含んでいます.こういうのは,このコンプレックスの砕屑岩としてはけっこう珍しい部類に入るんじゃないでしょうか?
じゃ,どういうのが主体なのというと...




こういった薄層理の distal なタービダイトや葉理シルト岩の互層が主体です.折戸浜から東(松前市街側)に海岸を歩くと,良好に観察できます.私もちゃんとしたイメージがないのですが,海溝充填堆積物って,こういうもの主体なんですかね??
もちろん,厚層理の塊状タービダイト砂岩もあるにはありますが,数は少ないです.所によっては,別アーティクルで書く予定ですが,砂岩シルトほとんど見分けのつかないものもあるし.




で,ところによっては,こんな見事な(教科書的な)未固結時変形構造が見られます.コンボルーションというよりは,ball-and-pillow 構造に近いものですね.ふーん...付加体の海溝充填堆積物って,普通の distal な砂泥互層とあんまり違わないんだな...と思っていると,カウンターパンチを食らわされます.




この見事な ductile 剪断構造を見てください.このような砂泥堆積物がここまで ductile 仁なるほど高温になったという変成鉱物学的証拠はまったくないので,これはやっぱり『未固結・半固結時剪断変形構造』ということになるんだと思います.この露頭面はほぼ水平だと思いますので,この向きで右ずれということになるんでしょうか? おそらく上が南だと思いますけど.そういうセンスで記録してないので,分からない.f(^^;

こういうのを見るにつけ,付加体というのは地層屋にとっては妖しく手ごわいものだな...と思います.
そういえば,この周辺は,新潟大学の構造地質関係の方が予察的に検討されているはずですけど,どうなったんでしょうね...あまりうまくいかなかかったのかな?

2010/04/08 12:43:42


コメント:
 長澤 (2010/10/06 13:46:05)
  たこの吸盤風化について

ドロマイトに付着しているふじつぼのような貝を取り除くと岩石が少し凹んでいます。
深くえぐれた穴は5センチほどあり、岩の上面では垂直にちかくやや傾斜しているものが多く、岩の垂直面の穴は下方にやや傾斜しています。岩石自体の内部構造によるのではなく、外力によってできた穴のように感じました。

コメント:
 mkawa (2010/10/06 21:24:35)
  ん...? なんか話が読めないんですが,コメント付けるサイトを混同してませんか? 私はあちらとは無関係ですよ.


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