墨流し構造-その2
この図は,川村ほか(1998)で使うために用意したものですが,結局印刷に回ることはありませんでした.一度は出したけど査読側に reject されたのか,それとも最初から自粛したのかは覚えていません.後者だったかな...?
図を見るとお分かりのように,非常に明快な概念図です.墨流し構造は,block-in-matrix ではないと.しかしここに欠けているのは,『一般性』と『変形プロセス』ではないかと今は思います.あるいは...『matrix の一部を見れば veneer になっている,というだけでは?』とか.
いまさらですが,veneer 構造をとるための要点としては;
・competency contrastが低いこと.
・層に直交する方向の変形短縮率が高いこと.
...の2点ではないかと考えています.
前者を説明するには,緑色岩は弱変成・変質作用によって既に緑泥石などの粘土鉱物が大量に生成していた,とかいう手があるかな?
後者はまあそうかという気もしますが,川村ほか(1998)では,氷河内部の変形構造(Huddleston, 1977)を無理矢理持ってきて説明に使っていますが...ちなみにこの論文,川村ほか(1998)では『Huddleton』とミスタイプしているようです.ああ恥ずかしい.
というわけで,墨流し構造は,非常にダクタイルな短縮率の高い変形混在構造なわけですが,私の中ではいまだにこれがどんな剪断変形なのかイメージができていません.というか,もう終わった話?ですから,未来永劫できないでしょう.
右の写真は当時墨流しの中に見つけたもので『ロールケーキ構造』と名付けたものですが,これも川村(1998)では割愛されています.
砕屑岩包有物が,圧力溶解を伴いながら折りたたまっているように見えますが,褶曲の軸部が孤立したもの? 回転を伴っている...? なんだかこういう構造が墨流しを解くカギのような気もしますが,その正体は検討されないままに闇のなかへ...
2014/02/14 12:45:02