松前戸長川河口のチャートスラブ





白神キノコ岩に引き続き,渡島帯のチャートスラブです.場所は,松前町街を挟んで白神岬とは反対側の,折戸浜~札前海岸です.この付近は,なんと私が学部3年生の時の修業論文のフィールドです.懐かしいな...で,この戸長川河口付近の砂浜にある立派な露頭は,3年生の時は,まったく見た記憶もありません.砂に埋まっていたのかも.:-p

左の図は,川村・大津(1997)に載せた図のカラー版ですが,露頭を上から見たスケッチマップです・約40 mにわたって,成層チャートスラブが分布していて,その両側は coherent な砂岩泥岩互層となっています.少し離れた所には含礫泥岩が露出していますが,成層チャートとは接してはいません.=メランジュ中のチャート岩塊ではないということになります.

砂岩泥岩互層との境界はほぼ平面的な密着面ですべり面は見られません.場所によっては,境界面が砂岩泥岩互層の層理面を切っているように見える部分があります.




で,境界部を子細に見るとこんな感じになっています.砂岩泥岩互層は,弱く層平行伸張変形しており,砂岩層は孤立ブーダンになっている部分があります.
また,境界部でチャート岩体の一部がはぎとられて,小さなレンズになっている部分もあります.
このような産状から,砂泥互層が半固結状態の時に,成層チャート岩体が構造的に挿入されたものというのが私たちの結論です.

重要なことは,チャートスラブの周囲が混在相ではない(整然~破断相)ということで,これはキノコ岩と同じです.付加体砕屑岩中のチャート岩体というと,『チャート砕屑岩シーケンス』か『メランジュ(含礫泥岩)のブロック』しかないと思っている方にはぜひこういう露頭を見て欲しいものだと思っています.

2014/01/30 15:09:02


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