水神龍王神社の赤色チャート
赤色チャートの話が出たので,もう一つ.
これは,旭川市の神居町忠和になると思いますが,12号線のバイパスにある旭川トンネルを抜けてすぐ,江丹別方面へ右折すると,東海大学校舎が建っている丘のふもとにあります.看板に『立岩』と書いてあるように,写真奥に何やら堅そうな岩塔が立っています.ただし...『大変危険につき立入禁止』というはっきりとした立看板も.
近づいてみると,いかにも不安定によりかかった岩塔二つからなっており,看板になくとも,危険でこれ以上近づく気は起きません.
しょうがないので,岩塔の反対側から見てみると...
多少片理が生じて褶曲しているように見えますが,立派な成層赤色チャートの岩体です.榊原ほか(2007)によると,このチャートは,神居古潭帯美瑛コンプレックスに属するもので,周囲は緑色岩類で囲まれているようです.
この露頭を学生を連れて見学するときは,まずはこの岩体が付加体の構成メンバーであることを説明しますが,もう一つ大事なのは,チャートが遠洋性堆積物の典型的なもので,その堆積速度は非常に遅く,例えば 0.3 mm / kyrs = 10 m / 33 myrs(3300万年で10 m)といった数値を紹介しています.まあこの数値が正確なものか分からないのですが...どこで見つけたんだっけ? 岩塔の下に落ちているチャート転石をルーペで観察してみると,赤岩青巌峡と同じように,黒いスポット状の放散虫化石がはっきりと分かります.時代は無理でしょうけど.
なお,赤色チャートの岩相をもう少し良く見たい時は,神社の前を通って奥に進むと,近接できる大きな露頭があります.ただ,ここも赤岩青巌峡と同じく,クライミング・サイトになっていますので,おまけに御堂もあるので,ハンマーで叩くのは避けた方が賢明でしょう.
2014/03/13 13:31:56