泥インジェクション





付加体そのものの話は久しぶりです.というか,私は付加体そのものを研究したのは,あとにも先にもジュラ紀渡島帯付加体だけなんですよね...まあそれはそれとして.

これも,ちゃんとした論文に出来なかったネタです.発見そのものは“世界的な”ものだと思うのに,慙愧の至りです.

上の写真は,松前町白神岬付近の変形砂泥互層中に貫入する含礫泥岩体です.下部の白っぽいのが含礫泥岩.で,この地域をM論で入った大津 直さん(現北海道立地質研究所)がこの付近で発見したのがこのサンプル.




スケールが入っていませんが,写真の横幅がだいたい10cm位だと思います.黒っぽいところは,破断変形の発達した砂泥互層ですが,その中に含礫泥岩脈が見事にインジェクションしています.のちに大津・川村(1997)で報告したものです.インジェクションは明らかに母岩の破断変形構造を切っていますので,付加変形後かあるいはその後期ステージでの注入現象ということになります.

おそらく日本ではこのようにサンプルレベルで付加体の泥注入脈を記載した例はなく,世界的にも,少なくとも私は記載例を見たことはありません.そういう意味で,ちゃんとした国際しに出せばよかったのにな...と思いつつ後の祭り.大津さんには悪いことしたなと思っています.




罪滅ぼし?に,大津・川村(1997)に出したスキーム図のカラー版を出しておきます.
ただ正直なところを言うと,このスキームを確実に裏打ちする現象,特に変形の検討が不十分だったな...と.

2009/11/13 09:56:24


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