小砂子プロトリスの岩相
この小砂子海岸(日方泊岬)の海洋性プロトリスの岩相ですが,昔大津さんが卒論やったころにいろいろとフィルムで撮っているはずなんですが,それはちょっと現時点ではどっかに埋もれていて紹介できません.
これは,2001年10月(漁港改修前)にデジカメで撮った写真です.日方泊岬で観察される岩相は,下の書き込みに載せた柱状図のおおよそ真ん中から下の部分で,最下部が玄武岩からなります.玄武岩はほぼ塊状ですが,上部では枕状構造も観察できます.上の写真は,そこを撮ったものです.やや剪断変形を受けていますが,枕のリムなどが見えていると思います.この玄武岩の化学組成は残念がら得られていませんが,私の予想では,おそらくMORBではなく,海山ソレアイトだろうと思っています.枕状溶岩の上位は,赤色チャートなどのブロックを含む火山角礫岩様になっています.
火山岩の上位には,細粒火山砕屑岩と石灰質砂岩の互層が整合的に載っています.石灰質砂岩は葉理質で,けっこうなトラクションの存在する環境を示しています.
おそらく,海山体上部から石灰質砕屑物と火山性砕屑物の供給を受けたものと考えられます.
この互層の中には,ほぼ層状石灰岩と言って良い岩相も見られます.石灰岩中には,一部チャート質の薄層が挟まれています.
実はこの石灰岩層の中には,著しい層内褶曲を示す部分が特徴的で,形状から言っておそらくスランプ変形だと思われます.ところが,それを撮った写真が見当たらないのでした.うーん...どこへ行っちゃったんだろう?
こういう海洋性プロトリスの露出場所としては,私の知っている範囲では,松前町トノマ岬があります.ここでは下底部に館浜メランジュの含礫泥岩が接しており,産状は似ています.あいにく源層序はかなり壊れていて,おまけに最下部緑色岩を欠いていますが.
2013/03/25 15:09:43