北海道最古の石灰岩-大平山
渡島帯石灰岩の話が出ているので,それ続きということで,渡島帯最古の化石の出ている石灰岩の話を.渡島帯最古ということは,自動的に『北海道最古』ということになります.時代は後期石炭紀ですから,大体 310 Ma.渡島帯の付加がジュラ紀中世ということで 160 Ma 前後でしょうから,付加までのタイムラグは 150 mys ということになります.だいぶ古い海洋プレートが沈み込んでいたものですね...
場所は,上ノ国町大平山の下を走る林道?沿いです.クルマで走っていると,実に分かりにくい場所にあります.入り口(中須田)も分かりにくいし,露頭もうっかりすると通り過ぎてしまう...おそらく採石をしていたんだと思いますが,いまはただ放置されていて,夏草が生い茂るときには上のような感じです.ちなみにこのときはスニーカでそのまま入ったら,もろにダニ2匹にがっぷりと食いつかれてしまいました.
岩相はご覧のように,単なる石灰岩ではなく,石灰岩礫岩です.微量ですが,緑色岩礫も含んでいます.石灰岩礫から,いろいろな人によって,コノドントやフズリナが見出されています.私はまだここでは見たことないのですが.
渡島帯で石炭紀化石の出るところは,あと2箇所くらいありますが,苫府沢のやつは,確認した限りでは石灰岩礫岩ではなくメランジュ中の石灰岩ブロックでした.沢の入り口付近なんですが,去年確認しに行ったときは,もう見当たりませんでした.
で,この石灰岩礫岩の産状というか,堆積環境なんですが...この場所では正直露出が悪くて,よく分かりません.露頭の下部を見るとご覧のように石灰岩砂岩というか砕屑性石灰岩(タービダイト)が挟まっていますので,全体が重力流堆積物のようです.露頭の上部にはチャートが転がっていますが,関係は不明です.
これは大津 直さんの卒論のときに見たんですが,小砂子地域では,成層チャートの中に石灰岩礫岩が下部侵食関係で挟在しています.となると,海山のエプロンみたいな(基本的にチャートの堆積場)ところに,海山頂部から崩壊堆積物が流入してくるようなところなのかな...?と想像しています.
2010/04/16 12:18:54