白神岬の流動岩





渡島帯は,私にとって思い出深いフィールドです.なにしろ,南部北上の coherent な古生層の世界しか知らない私が,『北海道に就職したんだから北海道でもやってみっぺ』という気楽な気持ちで足を踏み入れてしまったところなんですから.

そこは,他のところでも書いているように,海岸に露出するジュラ紀付加体の面妖な内部構造の世界でした.はっきり言って,それを垣間見たショックで必要以上のバイアスを持ってしまったのではないかと言われると,返す言葉はありませんが...

上の写真は,北海道の最南端,松前町白神岬に立つモニュメントです.背後にうっすらと見える青い陸地は津軽海峡対岸の津軽半島です.天気が良ければ,竜飛岬の特徴的な形もよく見えます.で...この駐車スペースの下に,前に書いた(と思う)面妖な緑色岩体と成層チャート,それに流動岩が露出しています.




まあなんて言うんですかね...見ようによっては変形砕屑岩中の異常堆積相(スランプ・デブリ)にしか見えないと思います.
しかしよく観察すると母岩との境界は入り組んで(時には漸移的に)分岐・接合しており,単純な堆積層にはどうしても見えません.
これを説明する方法はただ一つ.母岩の液状化と流動・貫入だけではないのかと.




右の写真は上の写真の中央部を比較的最近撮ったものですが,単なる堆積相ではない,という意味がわかっていただけるのではないかと...期待します.右上には,母岩中にくさび状に貫入する(ような)構造も見られます.

これらをちゃんとサンプル取ってちゃんと処理すれば,もう少し説得性を持って展開できたかもしれないんですが,なぜか検討は不完全なままで,詳細に行うことはできませんでした.

しかし,これが堆積層ではなく流動岩であるということは,私は『主観的な』確固とした自信を持って言うことができます.これこそがバイアス,なのかな.・..? :-p

2014/01/28 12:29:25


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